ホータンの事件

 
7月18日の昼頃に東トルキスタンのホータンで、派出所が襲撃され、人質ら4人が死亡した、とのニュースが入ってきました。
 

http://www.47news.jp/CN/201107/CN2011071801000553.html
中国で警察襲撃、人質ら4人死亡 新疆、テロの可能性も
 
【北京共同】新華社電によると、中国新疆ウイグル自治区ホータン市で18日正午ごろ、警察の派出所が襲撃され、犯人グループが人質を取って建物に放火した。武装警察などが駆けつけ襲撃犯数人を射殺したが、制圧の際に人質2人と武装警察官ら計4人が死亡、1人が重傷を負った。残りの人質6人は救出された。
 
中国当局は、テロの可能性もあるとして反テロ部門のチームを現場に派遣した。新疆ウイグル自治区では少数民族ウイグル族による独立運動がくすぶっているが、新華社電は襲撃犯を「暴徒」とのみ報じ、民族については伝えていない。

 
と、最初に報道された内容は、「暴徒」が派出所を襲撃し、人質をとって建物に放火、武装警察が鎮圧したものの、人質2人と部層警察官ら計2人死亡、1人重傷ということです。
 
中国の発表に対し、世界ウイグル会議側が反論します。
 

http://www.chosunonline.com/news/20110719000028
新疆でウイグル族と警察が衝突
 
ウイグル族団体「平和的デモに当局が発砲」
一方、海外のウイグル族団体は、今回の事件について、土地区画整理に抗議するウイグル族住民の平和的デモに当局が発砲し、デモを強制鎮圧する過程で起きたと主張した。世界ウイグル会議の広報担当者は「土地区画整理などに抗議する平和的なデモを中国の公安当局が強制的に鎮圧する際、衝突が起きた。公安当局はデモ隊に向かって発砲し、死傷者が出た」と話した。デモにはウイグル族住民数百人が参加していたという。

 
と、中国側の発表と全く異なっています。100人ほどのウイグル人の平和的な抗議デモへの、公安側からの発砲によって死傷者が出た、ということです。
 
世界ウイグル会議緊急の声明が出た訳ですが、今回は日本のマスコミがこれを一斉に報じました。
 

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110720/k10014318511000.html
派出所襲撃 ウイグル人組織が反論
中国の新疆ウイグル自治区で、警察の派出所に立てこもった男らが射殺された事件について、ドイツに拠点を置く在外ウイグル人組織は、治安当局の弾圧に抗議する少数民族ウイグル族のデモ隊に警察が発砲して多数の死傷者が出たものだと反論する声明を出しました。
中国国営の新華社通信は18日、新疆ウイグル自治区南部のホータンで警察の派出所に数人の男らが立てこもり、武装警察の部隊に射殺されたほか警察側も4人が死亡したと伝えました。これについて、ドイツに拠点を置く在外ウイグル人組織の「世界ウイグル会議」は、現地からの情報として、治安当局に連行された家族の所在の確認を求めるウイグル族によるデモがあり、これに警察が発砲したものだとする声明をホームページ上で発表しました。声明は、この発砲で少なくとも20人が死亡したほか、女性や子どもを含む多数のけが人が出たと主張しています。新疆ウイグル自治区で人口の半数近くを占めるウイグル族は、漢族との経済格差などを背景に、中国政府への根強い不満があります。中国の国内メディアは事件の背景など詳しい報道を控えており、民族問題に敏感な中国政府の対応ぶりを反映したものみられます。

 
2009年のウルムチ事件以降、日本のマスコミも中国側の報道一辺倒とはいかなくなっているのを感じているのではないかと思います。
 
それから中国の政府側の発表が変わります。当初、死傷者は人質と警察官側に出たとされていたのが、これに「犯行グループ側」のウイグル人の14人が死亡したとします。
更に世界ウイグル会議側の声明を否定し、宗教過激派による犯行であると発表します。
 

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110721/t10014349091000.html
新疆の事件 イスラム教徒関与か
中国の新疆ウイグル自治区で18日、警察の派出所に立てこもったグループが武装警察に射殺された事件は、その後の調べで、犯人の一部が現場で「アラーは唯一の神だ」と叫んでいたことが分かり、警察は、過激なイスラム教徒による犯行の可能性があるとみて調べています。
中国西部の新疆ウイグル自治区のホータンでは18日、警察の派出所に武装したグループが立てこもり、国営の新華社通信によりますと、犯人グループの14人が射殺され、さらに市民や警察官ら4人が死亡しました。警察によりますと、犯行グループは20歳代から40歳代の男で、現場で「アラーは唯一の神だ」と叫んでいたということで、警察は、過激なイスラム教徒による犯行の可能性があるとみて調べています。一方、この事件について、ドイツに拠点を置く在外ウイグル人組織は声明を発表し、事件はウイグル族のデモに対して警察が発砲したものだとしており、中国側の発表は事実と異なると主張しています。現場の派出所の映像には、室内が焼け焦げ、壁には銃弾の痕が残っている様子が映されているほか、周辺には大勢の武装警察官が出て厳重な警戒を敷いており、2年前に大規模な暴動が起きた新疆ウイグル自治区では、依然として民族間の激しい対立が続いています。

 
この後の展開はどうなるでしょう。
これまで中国政府がウイグル弾圧の口実として使ってきた「3つの悪:テロリスト、分離主義、宗教過激主義」を今回の事件にも言い、同情を誘っているように思えてなりません。
 
新唐人テレビが、この事件についての動画を出しています。

 
世界ウイグル会議側の発表では、そもそもホータンの市街地、主要なバザールの近くで、100人以上のウイグル人が平和的なデモから始まったもので、その参加者らが要求したのは、警察に拘束され行方不明となっている親類の消息についてだそうです。
しかし警察はデモ隊に発砲し、20人を殺害しました。更に11歳の少女を含む12人が重傷、70人以上が逮捕されたといいます。実際にはこれ以上犠牲者が出ているのではないかと見られています。
ホータンへと続く道路は封鎖され、戒厳令が敷かれています。
またこの事件についてのネット検索も遮断されたそうです。
 
7月19日に出された世界ウイグル会議の緊急声明を転載します。
 

http://www.uyghurcongress.org/jp/?p=3187
世界ウイグル会議:ホータン事件の複数目撃報告で懸念
 
Press release – For immediate release
19 July 2011
Contact: World Uyghur Congress www.uyghurcongress.org
Tel. 0049 (0) 89 5432 1999 or e-mail contact@uyghurcongress.org
 
複数の目撃報告に基づき、世界ウイグル会議東トルキスタン、ホータンで7月18日に起こった事件の公式見解に重大な疑念を抱いている。世界ウイグル会議は無条件で全ての暴力行為を非難する一方で、国際社会に対して中国国営メディアの当該事件に関する報道に非常な疑いと注意とを共に考察することを勧告する。なぜならば過去の同様の事件は、中国当局が組織的に虚報を広め、また公式な談話に反するいかなる情報も抑圧してきたことを証明しているからである。
 
新華社通信によれば「暴漢」が警察の派出所に押し入り、人質をとり銃撃戦になって数人の人々が死亡する結果となった。しかしホータンの情報筋によると銃撃は派出所で起こったのではなく、ホータンの主要バザール近隣のヌルバグ地域で起きた、100人以上の在住ウイグル人がホータンでこの二週間のうちに課された弾圧に抗議する為に集まった。デモ参加者は警察の拘束で不明となっている親戚縁者の消息を知ることを要求した。警察はデモ参加者に発砲を始め、20人を殺害した。ホータンのある病院から得た情報によると他に12人が重傷である、その中には4人の女性とHanzohreという名の11歳の少女もいた。加えて70人以上の人が逮捕された。世界ウイグル会議は死傷者の数が更に多いのではないかと懸念している。なぜならホータンの道路は中国公安部隊により封鎖され続けており、出入りする人々は管理されまた検査され、そして戒厳令がホータン当局により敷かれている。この事件に関しての情報を得ることは困難である。それに中国当局は中国内でこれらの事件に関するニュースが広がることを避ける為に、この事件に関してのインターネット検索を即時に遮断した。
 
中国政府は、典型的な方式でこのホータンの事件を「三悪勢力(テロリズム、分離主義、宗教極端主義)」に起因するとしている。中国当局は常習的に、ウイグル人ムスリムであるという事実を都合よく用いつつ、ムスリムに関して不幸にして存在する人種差別者的ステレオタイプに訴え、ウイグル人を宗教的極端主義者でありかつテロリストだと表現する。ウイグル人は永らく穏健で伝統的なスンニー派イスラム教を実践してきており、農村的でオアシス在住の住民の民俗と伝統を強く吹き込まれてきた、そして宗教極端主義はウイグル人イスラム実践には全く根源はなくまたウイグル人の間にはほとんど存在しないものである。2009年のウルムチでの諸事件の間、ホータンにおいての事件の描写は歪められたが、それはそのような事件の根本的原因を取り扱うのを避ける為の試みてあり、換言すればウイグル文化、アイデンティティ表現の自由と宗教への弾圧であり、同様に東トルキスタンウイグル人に対しての現在進行中の経済的差別でもある。2009年7月の事件の後、中国政府官員は197人が事件の間に殺害されたと発表した。しかし膨大な目撃者報告がアムネスティ・インターナショナルウイグル人権団体に送られ、メディア報道では公安部隊が抗議活動者の法的に正当化されない殺害を犯したことが、そして殺害の実数はおよそ1000人であることが示されている。
 
世界ウイグル会議は中国政府に対して、国際的な報道機関と観察者が自由かつ独立してこのホータンにおける事件の調査することの許可を、そしてこの事件の本当の詳細を明らかにして中国が現在続けているウイグル人の生活における全分野での弾圧を停止することを、この情況のさらなる不安定化を回避する為に強く勧告する。
 
マスコミからの質問は下記までお問い合わせください:
 
デリシャット・レシット (世界ウイグル会議スポークスマン)
Mobile: +46 73 69 41 922
E-mail: uyghur50@gmail.com
 
http://www.uyghurcongress.org/en/?p=9277

 
 
追記:
以下のように、伝統衣装着用の禁止が引き金になったのではないか、との報道もあります。

伝統衣装の禁止が引き金か 中国新疆の派出所襲撃
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110722/chn11072214110003-n1.htm
 
伝統衣装の禁止が引き金か 中国新疆の派出所襲撃
2011.7.22 14:09
 多数の死傷者が出た18日の中国新疆ウイグル自治区ホータン市の派出所襲撃事件は、少数民族ウイグル族の女性の伝統衣装着用を禁じる地元政府の政策への不満が引き金だった可能性があると、22日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが伝えた。

 事件の目撃者が、犯行グループは事件の際に伝統衣装禁止に反対するスローガンを繰り返し叫んでいたと証言。地元政府当局者は同紙に、数カ月前から衣装禁止策を始めていたことを認めた。衣装は黒いベールと黒いゆったりしたワンピース。地元女性の証言では5、6月ごろから着用を禁じられ、商店での販売も停止させられた。

 当局者は「こうした衣装は武器を隠しやすく、治安にとって脅威だ」と禁止理由を説明。自治区の区都ウルムチで2年前に発生した大規模暴動以降に広まったもので、伝統衣装ではないとも述べた。(共同)

これの元記事:http://topics.scmp.com/news/china-news-watch/article/sitemap
 
 
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ウイグルから誘拐されスリをさせられる子供達

 
ここ数日、中国でスリをして捕まり、周囲の大人たちから暴力を振るわれるウイグル人の子供の映像について話題になっています。
子供が大勢の大人から暴力を振るわれるという姿はショックが大きいですね。
 

(以前の動画はyoutubeのほうで、利用規約違反ということで消されてしまいました。なので差し替えさせて頂きます。)
 
投稿者が、「虐待される児童」としか書いていないので、本当にスリをして捕まったウイグル人児童なのかは確定できないのですが、状況的にはそうだろうなとは思います。
 
いまウイグルでは児童が誘拐され、中国の都市部に売られ、そこで盗みを行う組織に入れられ、スリをさせられています。
新疆自治区救助所の公表する数字で、4千人のウイグル人児童が中国都市部でスリなどをさせられているとのことですが、実際にはもっと多くの人がいると見られています。
 
自宅がどこにあったか分からないくらい幼い時に誘拐された児童も多く、そのような子を警察が保護しても自宅に帰すことが出来ないそうです。
またウイグル人スリを捕まえると「民族問題」となり易く、そのため及び腰ということもあるそうです。
それで、捕まった児童を、スリ団の頭が保護者であるとして迎えに来ると、引き渡さざるを得ないということになります。
 
警察が対処仕切れない、ということで民間人が反スリ団体を結成するなどして、民間人によってスリをした児童を捕まえ制裁を加えるとのことです。容赦なく暴力をふるい、殺される子供も多いようです。
その、民間人によるウイグル人児童への制裁の様子が、上の動画ではないかと考えられます。
動画が撮られた場所は不明ですが、中国であることははっきりしており、虐待されている児童が漢人とは明らかに違う、多分ウイグル人だろう、ということからの判断になりますが。
 

これら、ウイグル人児童が誘拐されスリをさせられている実態について、2007年の『鳳凰週刊』にムザパル・クルバン氏という方が寄稿しています。
 
翻訳文はこちらで
 

http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/6f7d9360f4c0642ebbc31c660b204e76
中国内地におけるウイグル族ストリートチルドレンの生存状況調査(1)
 
http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/d6d3618a5dbaeb222688612d3796023e
中国内地におけるウイグル族ストリートチルドレンの生存状況調査(2)

 
 
このように犯罪者となっているウイグル人が大勢いるということは、当然漢人らのウイグル人に対しての偏見にもつながります。
 

漢族のウイグル観、チベット観、内モンゴル観−反応が違うウイグル http://bit.ly/p4QsJohttp://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0717&f=column_0717_004.shtml
筆者が、中国で感じたのは、漢族のうち多くの人が、ダライラマに対しては悪感情を持っているものの、チベット族のことは悪くは思っておらず、チベット自体は、憧れの旅行先。内モンゴルについても、貧乏だとは思っているものの、それほど悪感情はない。それに対して、ウイグル族および新疆ウイグル自治区に対しては大変な偏見がある、というものでした。

 
というように、特にウイグル人に対しての感情が悪化しています。
 
上の動画で(恐らく)周囲の漢人の大人たちがウイグル人の児童を虐待する、という構図は、漢人らの持っている少数民族蔑視や、ウイグル人への偏見などが、集団心理として増幅されたのではないかと思われます。
 
警察による取り締まりが強化されること、ウイグル人児童に対応する警察官にウイグル人を採用すること、誘拐された場所を特定し自宅へ帰還させるための団体などを作ること、などの対策が考えられますか。
 
警察も集中的に取り締まりはしているようですが…

http://news.livedoor.com/article/detail/5689405/
新華社毎日電訊】 新疆ウイグル自治区公安庁の報道官は4日、4月26日から実施していた集中取り締まりで、子供を狙う誘拐団66組織を摘発し、容疑者332人を拘束、未成年者138人を救出したと発表した。(翻訳 尚蕾/編集翻訳 恩田有紀)

 
と、まだまだ根絶までには程遠いようですね。
 
ですから、行政の側に体制を整えてもらうのと同時に、中国都市部に住む良心的な漢人達からの支援運動も、必要となると思います。
ウイグル人のスリを直接相手する人たちが、単に制裁すべきものと捉えるのではなく、社会問題として解決すべきものと考えられるようにならないと、この悲惨な子供達を救うことは出来ないと思います。
 
http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/6f7d9360f4c0642ebbc31c660b204e76
 
のブログにもあるように、安陽反スリ連盟の佳泉のような民間組織を作った人の中にも、このようなウイグル人児童に同情する人がいます。
この子供たちの悲惨な運命を知ってもらおうと、ネット上で呼びかける新彊ウイグル在住の漢人もいるようです。「お願いだから子供たちをあまりひどく殴らないでくれ」と呼びかけているそうです。
 
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東トルキスタンの歴史概説

 
これもまた日本ウイグル協会の会報に載せた文章です。
東トルキスタンの歴史については数年前にhttp://saveeastturk.org/jp/index.php/%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%A8%E6%96%87%E5%8C%96にも書いたんですが、それを更にまとめたものです。
 
 
 中国の歴史には、漢人の王朝以外の異民族による王朝の時代が含まれている。その歴代王朝で本格的に東トルキスタンを支配することができたのは、満人の征服王朝である清のときからであると言って良い。それ以前に中国の歴代王朝がこの地域を支配できたのは、漢と唐代の一時期、「西域都護府」と「安西都護府」を置いたときのみである。中国政府は歴史上一貫して東トルキスタンを支配し続けたかのように喧伝しているが、これは事実と異なる。そもそも中国歴代王朝は東トルキスタンを「西域」と呼び、万里の長城によって境界を画し、「中国」とは異なる「化外の地(王権の及ばないところ)」とみなしていたのである。
 
 現在東トルキスタンと呼ばれるこの地域に最初に住み始めたのは、イラン系・インド系のアーリア人であったが、紀元前2世紀からは遊牧民族匈奴が、ついで柔然、紀元6世紀からはテュルク系の突厥がこの地域を支配した。
そしてこの地域をテュルク系民族の住む地域「トルキスタン」としていく主体となったのは2つのウイグル王国、天山ウイグル王国とカラハン朝である。両者とも現在のモンゴル高原にあった遊牧ウイグル帝国からの遺民が造った国であった。
天山ウイグル王国はそれまでの遊牧から定住へと生活様式を転換し、マニ教、ついで仏教、景教などを受容し、独自の文化を展開していった。
カラハン朝は、王サトゥク・ボグラ・ハンのときにテュルク民族としては初めてイスラム教を受容したと言われており、東西へ向けてジハードを展開していった。このときにカラハン朝が支配したタリム盆地の西半部までが、イスラム化することになった。なお首都であったカシュガルは、イスラム的な文化の中心地へと生まれ変わり、芸術、科学、文学などが繁栄した。このテュルク系イスラム文化の先駆であり、また最も偉大な文学作品であるのが、ユスフ・ハス・ハジブの「クタドグ・ビリク(幸福になるための知恵)」と、マフムード・カシュガリーの「ディーワーン・ルガート・アッテュルク(テュルク語大辞典)」である。
 
 その後ウイグル人は、世界的な大帝国を築いたモンゴル帝国の前に、あえて武力的抵抗をせず、彼らの頭脳として働くことを選んだ。ウイグル人は「モンゴル統治の教師」と言われる程に、その経験と知識を存分に用い、さらに世界各地に出向いて貿易に従事し、ウイグル商人として名を馳せていった。
 モンゴル帝国はその後分裂し、その後継国である東チャガタイ・ハン国、次いでモグーリスタン・ハン国、ヤルカンド・ハン国の順でモンゴル系王朝が東トルキスタンを支配した。彼ら支配層も、もともとはモンゴル系遊牧民とはいえ次第に定住化せざるを得なくなり、更に言語的にテュルク化、宗教的にもイスラム化していった。なお、このモグーリスタン・ハン国のときに、タリム盆地全域のイスラム化が完成した。
 タリム盆地を支配していたモンゴル人王朝の名目的な支配者はモグーリスタン・ハン家であったが、実際に諸都市の実権を握っていたのはホジャと呼ばれるイスラム宗教貴族であった。
 
 その後、西モンゴル族オイラト)の一部族であるジュンガル部が、次第にこの地域に支配を伸ばしてきた。ジュンガル帝国3代目ハンのガルダン・ハンの統治下で、帝国はその支配域を大いに広げた。彼はチベット仏教の活仏と認定され、幼少期をダライ・ラマ5世の下で過ごしていた。ダライ・ラマ5世はガルダンを強く支持し、ガルダンはこれに応え、チベット仏教の守護者として戦いに臨み、東トルキスタン全域からモンゴル高原西部にいたる大遊牧帝国を築き上げた。その後東モンゴル族のハルハ部も破ったが、ハルハ部が清に援助を求めたことで、ジュンガル帝国清朝とが全面対決することになった。
 
 清による東トルキスタンの支配は、ジュンガル帝国との攻防を繰り返した後、1755年に乾隆帝によって成された。この時のジュンガル帝国滅亡は、清軍が持ち込んだ天然痘と相まって、壊滅的なものとなった。次いで1759年にタリム盆地のヤルカンド・ハン国も滅ぼされたが、このときに西トルキスタンに逃げ延びたホジャの子孫が、後に失地回復のための聖戦を繰り返すことになる。このようにしてジュンガル盆地(準部)とタリムイスラム地域(回部)を手に入れた清は、両部をあわせ「新彊」、つまり新しい辺境の領土、と名付けた。
清朝の支配は、将軍や大臣の下の各都市の首長をウイグル人が務めるという、比較的自治に近いものであった。これはチベットでも同様であり、圧倒的多数の漢人を少数派の満州人皇帝が抑えるために、チベットウイグル人を味方にするための優遇措置であったと考えられる。このような統治もあり、19世紀前半から60年ほど東トルキスタンは平穏であったと言われる。
 
 19世紀中ごろから、清朝内地では、イスラム教徒による反乱が頻発していた。このイスラム教徒の反乱に刺激され、さらにホジャによる失地回復の聖戦とそれを支援するウイグル人の奮闘の結果、西トルキスタンのコーカンド・ハン国の将であったヤクブ・ベクがカシュガル・ハン国を建てた。
これにより東トルキスタンは再びテュルク人によるイスラム政権を樹立することができたのである。対外的にもロシア、イギリスと通商条約を結び、オスマン・トルコを宗主国とするなど、その存在は国際的にも認められていた。
 しかしこの国も1877年、清の将軍である左宗棠に侵略され、東トルキスタンは再び清の支配されるところとなった。1884年には新疆省となり、内地と同様の道州府県が置かれ、清によって直接統治されることとなった。
 
 なお、1840年頃から20世紀初頭の中央アジアは英露両国の勢力争いの場となっていた。また両国をはじめとしたヨーロッパ諸国や日本の探検家による調査も行なわれるようになり、中央アジアのさまざまな地理的、歴史的な発見がなされた。
 また、ロシアの圧迫に反発し、ロシア内部や西トルキスタンのテュルク系ムスリム知識人の中から近代的改革の動きが生まれた。彼ら知識人が普及に努めた近代的教育方式(ウスリ・ジャディード)に由来し、この運動をジャディード運動という。これと期を同じくして、東トルキスタンでもジャディード運動が起きた。
近代化による、商業の国際化、工業の発展のためには、科学的な知識や技術を身につけた人材が必要である。それまでのイスラム教の寺子屋のような初頭教育施設だけでは十分な教育は施せない、民族のアイデンティティが脅かされると危機感を抱いた人々は、新方式の学校を建て、イスラム教の宗教教育の他にも、読み書きや計算、歴史、近代科学を教えるようになった。当時の先進地であったクリミア・タタールやトルコのイスタンブールなどへ留学生を出したり、当地の教師を招聘するなどして、民族の教育に尽力を払った。有名な教育者としてはアブドゥルカーディル、スポンサーとしてはムーサー・バヨフ家などがいる。彼らの思想は、汎トルコ主義・汎イスラム主義であるとして、中国の安定を脅かす危険な思想とみなされて弾圧を受けるようになった。ジャディード運動を行った知識人の中には、後の東トルキスタン共和国の成立に大きな役割を果たした者もいる。
 
 新疆省になってから清朝滅亡までの30年間は、比較的小康状態が保たれたが、1911年には辛亥革命によって清が滅び、中華民国が成立した。このときに外モンゴルは独立してソ連の衛星国になり、チベットは紆余曲折をたどって事実上の独立国となった。そしてそれに遅れること約20年、ついに東トルキスタンでも侵略者を追い出し自らの土地を取り戻そうという動きが高まってきた。
 中華民国成立時の新疆政府は、名目上は南京の政府の配下に置かれていたが、実質は漢民族軍閥によって支配されていた。清末期から続いていた東トルキスタンへの漢民族の大量移住と彼らからの差別や抑圧、また同化政策によって、テュルク系諸民族の間に不満と怒りとが鬱積しており、きっかけがあれば一気に爆発する状態になっていた。
 そして、1931年3月にハミで起きた蜂起は東トルキスタン各地に飛び火した。その混乱のさ中、1933年初めホータンでムハンマド・イミン・ブグラが主導した蜂起は、同時に起きたカラシャール、クチャ、アクスの蜂起と合流し、11月カシュガルにて「東トルキスタンイスラム共和国」の独立宣言を出すまでに至った。大統領にはホジャ・ニヤズ、首相にはサビト・ダ・ムラーが擁立された。しかしこの国家は、民族間の対立で連携が崩れたことと、中国国民党の弾圧やソ連の干渉、回族軍閥の侵略によって1934年春に終焉を迎えた。
 これら1931年から1934年にかけての反乱と独立運動はいずれも失敗に終わったが、この頃の新疆情勢について日本政府は強い関心を持ち注視していた。国外に亡命した東トルキスタンイスラム共和国の指導者たちに対して日本政府は積極的に接触し、現地の情報を集めていた。指導者の中には東京まで亡命してきた者もいた。彼らは日本の支援を受けて独立運動を継続しようと考えていたようであるが、日本政府が新疆に対しての関心を失ってしまったため実現しなかった。
 
 それから10年後の1944年11月12日、新疆省主席が左遷された混乱時に、テュルク系民族らによる民族解放組織がイリのグルジャ市で「東トルキスタン共和国」の独立を宣言した。主席はイリハン・トレで、閣僚は諸民族から成っていた。ソ連軍人の援助を受けた東トルキスタン軍は、イリ地区、タルバガタイ地区、アルタイ地区を掌握した(中国共産党はこれを三区革命と呼ぶ)。1945年9月にはウルムチの郊外にまで迫ったが、突然進軍を停止した。これは8月のヤルタ会談の際に行われたソ連と国民党との密約で、外モンゴルの独立・満州の権益と引き換えに、中国が東トルキスタンを支配するという交換条件が結ばれていたためである。
 武力による独立闘争に代わり、中国政府と東トルキスタン政府の和平交渉が始まり、ソ連の仲介によって、1946年ウルムチの国民党政府と和平協定を締結するに至った。お互いの閣僚を出し合って新疆省連合政府が成立したものの、やがて分裂し、旧東トルキスタン政府の閣僚は全てイリに戻り自治を宣言した。
 
そして1949年、国共内戦を制した人民解放軍が迫る中、ソ連の斡旋によって、イリの自治政府中国共産党との協議を決定した。8月に開催される会議に参加するため政治的指導者たちは北京に向かったが、行方を絶つことになった。一説にはその途上ソ連に連れ去られ殺害されたとも言われている。
政治的指導者を失った東トルキスタンは、1949年12月人民解放軍によって「解放」された。1955年、新疆省は新疆ウイグル自治区となり、現在に至っている。
 
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宗教への弾圧まとめ

※以下、日本ウイグル協会の会報に載せた文章に若干の手直しをして転載します。


 マレーシア在住のウイグル支援をしている日本人の友人から聞いたことだが、ウイグルで起きている弾圧のことを知人らに伝えるときに、イスラム教の信仰自体が弾圧対象になっていることについては想像も出来ないようである。
 これはマレーシアやインドネシアのように、ムスリムが多数派を占める国に住む人には同様ではないだろうか。
 イスラム教では、ムスリム同士は兄弟姉妹であり、互いに助けあうべき存在とされているのであるから、イスラム教の国がウイグル人救済のために声をあげてくれることを期待したい。


東トルキスタンイスラム

 様々な文物が行き交ったシルクロードの要衝である東トルキスタンでは、時代や地域によって様々な宗教が信仰されていた。元々遊牧民であったウイグル人は伝統的なシャーマニズム信仰を持っていたが、マニ教を国教とし、さらには定住化の後には仏教や景教キリスト教ネストリウス派)なども受容し、独自の文化を展開するようになった。
 9世紀ころから庶民の間でイスラム教が信仰されるようになっていったが、支配階級者の中で受け入れるようになったのは、920年カラハン朝のサトク・ボグラ・ハンからである。それから40年後にカラハン朝はイスラム教を国教と定めるようになった。テュルク系民族の国で初めてイスラム教を国教としたのがカラハン朝であると言われている。
 これ以後次第にイスラム教が東トルキスタン全域に浸透していったが、東トルキスタン全土がイスラム化されるのは、16世紀前半にクムル(ハミ)から仏教徒勢力が追い出されたときである。
 イスラム教が受容されて以降、東トルキスタンウイグル人たちにとって、イスラム教が生活の重要な位置を占めてきた。しかし中国政府は民族浄化政策の一環として、東トルキスタンウイグル人イスラム教信仰に対しても様々な弾圧を行っている。


中国政府の行うウイグル人イスラム教信仰への弾圧

 中国は共産主義無宗教国家として、それぞれの宗教に対しても弾圧を行っているが、ウイグル人イスラム教信仰への弾圧は特に厳しいものになっている。
 全てのモスクは国家が管理する「中国イスラム協会」に登録されていなければならず、イマム以上の宗教指導者は当局からの許可が必要となっている。宗教指導者は定期的に愛国教育を受けて、免許を更新する必要がある。つまりは、イスラム教の教義に通じた者ではなく、中国政府の意向に沿う者が宗教指導者になることができるのである。
 また当局によって、どの版のコーランを使用して良いか、催事でどのような内容を話してよいか、などが厳重に監視されている。

 モスクには18歳以下の者、公務員、共産党員は入ることが禁止されている。18歳以下の者は自宅で宗教教育を受けることすら禁止されている。
 また学校では、宗教の祭日を祝うこと、宗教のテキストを学ぶこと、宗教的な衣装をまとう事などが禁止されている。地域によっては女性のスカーフ、男性のひげなども禁止されている。
 学校の寮では教師が、1日5回の祈りや、ラマダンのときの断食(日中は飲み食いをしない)などの、宗教的行為を行っている学生がいないかを見回っている。ラマダンの時期だけ職場や学校では昼の弁当が用意され、その弁当を食べなければ、職場や学校に入れない、というような嫌がらせが横行している。
 更に2007年からは、ムスリムの五行である「メッカ巡礼(ハッジ)」を阻害するために、ウイグル人のパスポートが取り上げられるということも起きている。

 文革の時期には多くのモスクが閉鎖され、宗教指導者が逮捕されるなど、宗教的に最悪の受難の時期であった。文革終了後、徐々に改善されつつあったが、90年代中頃から再び数百のモスクが閉鎖に追い込まれている。2009年7月のウルムチ騒乱事件以後、更に多くのモスクが閉鎖されていると言われている。

 もしこれらの中国政府による宗教的取り決めに違反した場合には、職場などから追放、罰金、トウ案(身分調書)への犯罪歴の記録、家族への嫌がらせ、拘留、労働矯正などの行政処分が待っている。
 中国政府の目的は、国家の許可なしに宗教団体が宗教活動をすることを困難にさせることと、許可したその宗教団体を自らの監視下に置くことである。

 ソ連の崩壊と中央アジアの独立があった1990年代中頃から、イスラム教への弾圧が強められた。中国政府は犯罪撲滅のため「厳打」キャンペーンが度々行われるが、中国全土では通常の犯罪についてを対象にしているのに対し、東トルキスタンに於いては、宗教への弾圧の手段として用いられている。ウイグル人の「宗教活動」=「分離主義運動」であるとみなし、「厳打」の対象であるとされている。
 ウイグル人の宗教活動に対しての締め付けは、他の民族に比べて厳しくなっている。これは他の民族、カザフ、タジク、ウズベク、モンゴルなどは既に中国の外に自民族の国家があることから、それほど民族独立主義的な志向がないと見られているためである。
 イスラム教は、東トルキスタンのテュルク系諸民族のアイデンティティのうち、かなり重要な位置を占めている。よって、中国政府からの弾圧は、彼らからしてみれば単なる宗教への弾圧に留まらず、自らの存在を否定されるかのような脅威を抱かせるものになっている。

 若者への宗教的な教育が行われないこと、それと共に地域社会の連帯が好ましくないとして政府により地域の集まりが制限されていることなどによって、若者の信仰やモラルが低下していると言われる。さらに様々な抑圧や経済的な差別などから希望を失う者が、ドラッグに溺れてエイズに罹ったりするなど深刻な社会問題を生んでいる。



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ウイグル人ジャーナリスト解放のための請願署名

3月11日の東日本大震災で被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。
テレビで津波の様子を見ていたのに、こんなに被害が大きくなるとは予想できず、想像力が欠如しているなあと思わされました。
また、自分の身内にも、福島の原発周辺に住んでいて、現在東京の避難所生活している者もいます。
震災後停電などで1〜2日連絡が取れず焦ったのですが、安全が確認されてからは原発事故で放射能の影響がない場所へと避難所を転々としていたりで、被災者の辛さというのは安全な場所からでは想像ができないものだと思わされました。

さて日本ウイグル協会では、3月5日から請願署名を行っています。
震災後の自粛ムードでしばらく自前の行事も出来なかったのですが、5月31日が締切りとなっているのでご協力よろしくお願いします。



ウイグル人ジャーナリスト解放のための請願署名
http://uyghur-j.org/news_20110531.html


サイト上でダウンロードしていただいたpdfファイルを印刷頂き、以下の住所宛に郵送ください。
お手数おかけしますが、よろしくお願い致します。


請願書送付先:
〒162-0067 東京都新宿区富久町16-11 武蔵屋スカイビル405 日本ウイグル協会(請願書在中)
日本ウイグル協会メールアドレス:info@uyghur-j.org
ウェブサイト:http://uyghur-j.org



【以下詳細】

2009年7月5日ウルムチ騒乱後不当に拘束されているウイグル人ジャーナリストの解放に向けて、日本国政府からの働きかけを求める請願

【 請願の目的 】
 この請願は、新彊ウイグル自治区の首府ウルムチで起きた2009年7月5日の騒乱に伴い、大勢のウイグル人ジャーナリスト・ウェブサイト管理者が不当に逮捕・拘留されているなどの人権問題の解決・改善に向けて、中国と最も関係が深く、影響力を持つ隣国である日本国からの働きかけを求めるものです。

2009年7月5日ウルムチ事件
 2009年7月5日に新疆ウイグル自治区の首府ウルムチで起きたウイグル人達による平和的なデモは、武装警察や人民解放軍により多数の死傷者を出す悲惨な虐殺事件となりました。中国政府は何の罪もない多くのウイグル人を捕え、裁判にかけ死刑や懲役刑を言い渡しました。

良心の囚人
 この7月5日の「ウルムチ事件」に関連し、ウイグル人ジャーナリストとウェブサイト運営者の多くが捕えられ長期の懲役刑を宣告されています。
 ジャーナリストのハイレット・ニヤズは2009年10月に、ウルムチ事件以前に書いたウイグル人の失業問題や差別の実態などを論じた論文や、事件後にメディアのインタビューを受けたことを理由に逮捕されました。彼はメディアの取材に対して、ウルムチ事件の根本的な原因は、政府による二言語教育の強要と、ウイグル人の若者(特に女性)を中国沿岸部に強制的に移送していることであると説明しました。2010年7月には、自分で弁護士を選ぶことも出来ないまま、傍聴は妻だけという状況で、1日の裁判だけで「国家安全危害罪」により懲役15年の判決を受けました。
 ハイレット以外にも、捕らえられ有罪判決を受けた方々が大勢います。

隣人として毅然とした対応を
 国際社会において人権が尊重されるべきものであることは、国連憲章においても言及されているように明白なものです。しかし、中国は常任理事国であり、人権条約を批准しているにも関わらず、中国政府に批判的な中国国民に対し、厳しい言論・人権弾圧を繰り返しており、人権無視の国家運営に対し国際的にも非難の声が上がっています。
 また、自国の憲法や法律に明文化されている言論の自由や人権尊重が全く守られていないということからも、中国政府は重大な憲法違反を犯しているともいえます。
 私たちは、平和と人権を尊ぶ国際社会の一員として、また真の日中友好関係を望む日本国民として、中国と最も関係の深く影響力のある日本国政府が、隣国のこうした人権無視の国家運営に対して効果的に外交政策を講じて頂けるよう求めます。

【 請願事項 】
以下の各号を日本国政府が中国政府に対して要求できるよう、外務委員会等の適切な委員会において協議し、具体的な外交政策を講じること。

1.ハイレット・ニヤズ氏を始めとしたジャーナリストの逮捕と裁判について、公正なものであるかを追求すること。
2.ウイグル人を始めとする中国国民に対しての不当逮捕をやめ、既に逮捕されている人々には公正な裁判が行われるよう働きかけること。
3.不公正な裁判によって不当に拘留されている囚人については、即時の釈放を求めること。
4.2009年7月のウルムチ事件に対して、国際調査団などを形成し、徹底した現地調査が行えるようにすること。
5.ウイグル人を始めとする被抑圧民族の政治的、文化的、経済的な基本的人権と自由を尊重するよう働きかけること。


*署名簿として集めた本請願書は、個人情報保護法に基づき、直接提出にのみ使用致します。
また、衆議院参議院と別々に提出しますので、可能であれば2枚署名頂けると幸いです。

【緊急・署名活動】中国の人権派弁護士の身柄拘束等についての要望書

今回のジャスミン革命に関し、中国の人権派弁護士の身柄拘束等についての要望書への署名の協力要請がきています。
3月2日夜7時が締切りだそうです。
緊急ですが、ご協力よろしくお願いします。

趣旨に賛同していただける方は、河内弁護士の事務所に添付の賛同書をファクスでお送りください。お願いします。
 
FAXは以下のPDFファイルをダウンロードして印刷後、必要な箇所を記入の上FAXしてください。
http://www20.atwiki.jp/uyghurissue/pub/110303FAX.pdf
 
または以下のネットプリントセブンイレブンで印刷してください。
27313073
 
1ページ目にはFAX通信欄とこの要望書署名の要領があります。
2ページ目の右下に署名用紙があるので、ここに署名をお願いします。
 
ですから、2ページ目だけを03-5978-3706にFAXして頂いても大丈夫です。
 
 
以下、メールの内容:

件名: 中国人の身柄拘束について(その1)
 
 河内謙策と申します。(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許しください。転送・転載は自由です)
 
 私は、中国の人権問題に関心を持ち、様々な活動に取り組んできましたが、現在、中国の人権派弁護士等の逮捕の重大ニュースが私の手元に届いています。“この機会に、中国の人権派弁護士や人権活動家を根絶やしにしようとしている”という見方もありますが、「真相」は、現在、分かりません。しかし、私たち日本の民衆が声をあげるには十分だ、と判断します。また、中国は、身柄が拘束された場所での拷問が禁止されていない国です。私の友人らの身体も心配です。
 それで、大阪大学名誉教授の子安先生らとともに、私たちのできる第一歩として、以下のような「要望書」にもとづく緊急署名活動を計画しました。要望書にたいする賛同者を募り、呼びかけ人・賛同者一同として菅総理大臣等に申し入れる予定です。ぜひ、御協力をお願いいたします。また、この緊急署名活動を知らない友人の方に、広くこのニュースをお知らせくださるようお願いいたします。
 以下、「中国の人権派弁護士の身柄拘束等についての要望書」「署名用紙(サンプル)」「要望書の署名の要領」を貼り付けます。少し長いですがご勘弁ください。
 中国国内の新しいニュースが入りましたら、この「中国人の身柄拘束等について」のメールのシリーズで紹介させていただきたいと思います。
 では、何卒よろしく心からお願い申し上げます。
 
河内謙策 〒112-0012東京都文京区大塚5-6-15-401 保田・河内法律事務所
(電話03-5978-3784、FAX03-5978-3706、Email:kenkawauchi@nifty.com)
 
―――――――――――――――――――――――――――――――
 
      中国の人権派弁護士の身柄拘束等についての要望書
 
内閣総理大臣 菅 直人 殿
外務大臣 前原誠司 殿
 
           平成23年3月3日
           子安宣邦(日本思想史研究者、大阪大学名誉教授)
           稲正樹(憲法研究者、国際基督教大学教授)
           川島高峰(アジア人権人道学会会長、明治大学准教授)
           河内謙策(弁護士)
            川人博(弁護士)
           麻生晴一郎(ジャーナリスト)
 
 私たちは、さまざまな思想・信条を有してはおりますが、中国についてのニュースの中で、最近、中国政府により、逮捕や身柄拘束がなされる事件が相次いでいることに心を痛めております。
 たとえば、中国の人権派弁護士・唐吉田氏は16日に自宅から警察に連行され、同滕彪氏と同江天勇氏は19日に当局者に車に押し込まれるなどして身柄が拘束されています(このニュースは、国際的な人権団体ヒューマンライツウォッチも確認しており、間違いがないと思われます。
http://www.hrw.org/ja/news/2011/02/22-1 )
 
 インターネット上で「中国ジャスミン革命」集会への呼びかけを転載したなどとして四川省の作家冉雲飛氏、四川省の陳衛氏や丁矛氏、黒竜江省の渺小氏、広東省の鄭創添氏、江蘇省の華春輝氏も身柄が拘束されたと伝えられております。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110225/chn11022512340001-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110223/chn11022320110006-n1.htm
http://twitter.com/mozhixu
 
さらに、2月20日•同月27日に行われた「中国ジャスミン革命」集会について、当局がきびしい規制を行い、多くの若者が逮捕されたことは、テレビの映像を通じて私たちに大きなショックを与えております。
 私たちは、ノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏が春節にも家族と面会ができなかったということや、中国の著名な弁護士・高智晟氏が行方不明になっていることも知っております。
 私たちは、中国政府自身が「国は、人権を尊重し、保障する」と定めた中華人民共和国憲法33条3項に違反しているのではないか、と考えております。
 私たちは、中国で自由と人権が確保されることが、中国の市民と私たち日本の市民が連携して平和と共生のアジアを目指していくうえでの大前提であると思料いたします。
 最近、前原外務大臣が中国のインターネット規制につき憂慮の見解を表明されましたが、私たちはこれを歓迎いたします。また私たちは日本の政府に対し、以下の6項目を心から要望いたします。
 何卒よろしく、御検討をお願い申し上げます。
 
[要望事項]
1 日本政府が、中国政府に対し、唐吉田氏などの人権派弁護士や人権活動家、作家冉雲飛氏を直ちに釈放するよう、申し入れること。
2 日本政府が、中国政府に対し、「中国ジャスミン革命集会」の参加を呼びかけたり、「中国ジャスミン革命集会」に参加しただけで身柄を拘束された者を直ちに釈放するよう、申し入れること。
3 日本政府が、中国政府に対し、劉暁波氏を直ちに釈放するよう、申し入れること。
4 日本政府が、中国政府に対し、高智晟氏の行方を調査し、身柄の安全と活動の自由を保障するよう、申し入れること。
5 日本政府が、中国政府に対し、インターネットをはじめとした様々なメディアの表現の自由報道の自由を尊重するよう、申し入れること。
6 日本政府が、中国政府に対し、積極的な人権外交を展開すること。
                                以上
 
……………………………………………………………………
[署名用紙のサンプル]
 
内閣総理大臣 菅 直人 殿
外務大臣 前原誠司 殿
 
 
 私(私たち)は、「中国の人権派弁護士の身柄拘束等についての要望書」の見解を支持いたします。
 私(私たち)も、上記要望書に記載された、日本政府にたいする6項目の要望を御検討いただくようお願い申し上げます。
 
             平成23年3月3日
 
             (住所または団体の事務所の所在地)
 
 
 
             (肩書)
 
 
 
             (氏名または団体の名称)
 
 
                                
        
                       印
……………………………………………………………………
 
           要望書の署名の要領
(少し「厳格な方法」になっていますが、政府へ申し入れすることの関係で、これがベターと判断しました。ご理解おねがいいたします。)
 
1 資格:要望書に賛成の人であれば思想・信条を問わない。
  個人でも団体でも可、個人の場合は国籍を問わない。
  実名・正式名称のみ可。匿名は不可、ただし氏名・正式名称はマスコミやインターネット等に公表しない(件数は公表する)。
 (匿名で意思表示したい方については、どのような方法でやっていただくのが良いか、この署名運動後の後日に検討する予定です。)
 
2 署名の方法:署名希望の方が上記の署名用紙(または類似の様式の用紙を自分で作成しても可)に署名・押印して(実印でなくて可。外国人の方は、押印に代えてサインで可)、保田・河内法律事務所へFAXする(FAX03-5978-3706)か、郵送する(郵送の場合は、急いでいるので速達にしてください。宛先:〒112-0012 東京都文京区大塚5丁目6番15-401号 保田・河内法律事務所内  弁護士 河内謙策)。肩書きは、無くても「一市民」でも可(できれば、有ったほうが良い)。インターネットによる送付は不可。署名用紙は、そのまま外務省に提出する。
       
3 申し入れ等:3月3日以降、できるだけ早い機会に、呼びかけ人が、外務大臣に申し入れ、署名用紙・ファックス用紙を渡す。その後、記者会見を予定。
 
4 結果の報告:結果は、インターネットを通じて報告する。
 
5 その他:不明の点がある方は、弁護士河内までお電話ください。
(携帯のTEL07055524199)
 
                      以上

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件名: 中国人の身柄拘束(その2)


 河内謙策と申します。(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許し下さい。転送・転載は自由です。)


 中国の人権派弁護士等の身柄拘束について、緊急の署名活動を呼びかけさせていただきました。報道によれば、昨日の「中国ジャスミン革命」集会に関連して日本の記者等も拘束されたようで、外国のメディアの人間を拘束するということは、常軌を逸した、世界の理性・良識に対する挑戦と考えざるを得ません。こういう中国当局に身柄を拘束された人たちの身が案じられます。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110227/chn11022716230000-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110227/chn11022722590008-n1.htm


 2月28日午後4時半現在、集まっている署名は1団体13名です。私たちの動きは中国にもネットで伝わっています。このままではピンチです。このままでは「日本の民衆は、そんなものか」という落胆が中国国内でひろがることになりません。3月2日午後7時まで、私の事務所へ、署名用紙をFAXで送信してください
(FAX03-5978-3706)。


 「今までと同様に、そのうち誰かが自分に声をかけてきたら考えよう」と思っている方に言いたいと思います。いま署名活動に取り組んでいるのは、ごく少数の人間ですし、私の属している平和運動は昔のような組織力はありません。ですから、「まず隗(かい)より始めよ」で、貴方自身の署名用紙を送っていただきたいのです。


 自分の団体の執行部から何かの指示があるまで待っていよう、と考えている方はいませんか。団体の執行部の会議は月1回と決めている組織も多く、そういう組織では機を失してしまいます。また、サッカーの本田圭祐選手の「個があっての全体」という言葉がマスコミで話題になりましたが、貴方が中国の人権派弁護士等を支援すべきだと考えておられるならば、その貴方の考えが貴方の個性だと思います。その貴方の個性は、貴方の組織の目標から逸脱していないはずです。そうだとすれば、貴方の個性に基づき貴方が個人としての見解を表明することに障害はないと思います。そうでなければ、組織が上意下達の組織になってしまうのではないでしょうか。


 河内は、日本の課題を放り投げようとしているのではないか、というご批判もいただきました。私は、中国がどの程度自由で人権が保障された状態かは日本の未来と密接につながっていると思います。要望書にも「私たちは、中国で自由と人権が確保されることが、中国の市民と私たち日本の市民が連携して平和と共生のアジアを目指していくうえでの大前提であると思料いたします」と述べられています。比喩は良くありませんが、アイルランドの民衆闘争への連帯を呼びかけているのではないのです。
私は、さまざまな分野でご苦労をされている方に迷惑をかけて申し訳ありませんが、日本のさまざまな重要な課題も、中国の人権派弁護士等の身柄拘束の問題も、ともに取り組むしかないと思います。


 呼びかけ人がどういう人か知りたい、という声も寄せられました。時間がないので、私が勝手に紹介させていただきます。


 子安宣邦先生は、日本思想史研究の第一線でご奮闘中です。日本の思想史に関心を持っている人なら誰でも知っていると言っても言い過ぎではありません。子安先生は、アクチュアルな問題についても積極的に発言されています。子安先生は、二つ返事で呼びかけ人を承諾されました。本当に尊敬するに足る先生です。
http://homepage1.nifty.com/koyasu/


 稲正樹先生は、憲法研究者で、憲法研究の分野の第一線でご奮闘中です。私からみて、特に人権法の分野に造詣が深いように見えます。最近、編者の一人として『アジアの憲法入門』をまとめられました。この本は、その方面でのパイオニア的研究と思います。稲先生も、二つ返事で呼びかけ人を承諾されました。


 川島高峰先生は、近代日本民衆思想史を専攻しておられる若き研究者です。最近の監修・監訳本に『イラク人権レポート』(現代史料出版社)があります。また川島先生は、アジアの人権問題にも造詣が深く、アジア人権人道学会の会長でもあります。
http://www.isc.meiji.ac.jp/~takane/
http://www.glhumanasia.com/


 川人博弁護士は、長く過労死問題に取り組み、現在、過労死弁護団全国連絡会議幹事長です。最近は、「北朝鮮による拉致・人権問題にとりくむ法律家の会」でも活躍されています。著書・訳書もたくさんあります。最近の訳書に『豊かさの向こうにーグローバリゼーションの暴力』(連合出版)があります。


 麻生晴一郎さんは、若きジャーナリスト(ルポライター)として大活躍中の人です。中国の今を最もよく知っている日本人の一人です。中国の人権派弁護士を日本に最初に紹介した一人です。彼の難点は、時々連絡がとれなくなることです。中国によく行くからです。
http://gikyoudai.exblog.jp/


 私は、弁護士として国鉄問題や沖縄問題に取り組み、2001年から2002年にかけてアメリカ、2002年から2003年にかけて中国に留学しました。自由法曹団の自称不良団員です。最近は、「平和への結集をめざす市民の風」や「小選挙区制の廃止をめざす連絡会」でも活動しています。


 以上で呼びかけ人の紹介を終わります。


 一人でも多くの署名を! なにとぞよろしくお願い申し上げます。


                        以上


河内謙策 〒112-0012 東京都文京区大塚5-6-15-401 保田・河内法律事務所(電話
03-5978-3784、FAX03-5978-3706 Email:kenkawauchi@nifty.com)

 2011年3月5日シンポジウム 「良心の囚人を救え」−中国共産党の人権弾圧の実態

何年かぶりかの日記ですみません。

以下、内モンゴル人民党主催のシンポジウムです。
日本ウイグル協会も共催で行います。
中国の中で行われている人権弾圧について、モンゴル、チベットウイグル、中国民主化活動家のそれぞれの方からお話して頂きます。

ご参加よろしくお願いします。

http://uyghur-j.org/news_20110305.html

「良心の囚人を救え」−中国共産党の人権弾圧の実態−

【日時】 平成23年3月5日(土) 18:20開場 18:40開始

【場所】 国立オリンピック記念青少年総合センター センター棟101号室
(東京都渋谷区代々木神園町3-1)

【資料代】 1000円

【主催】 内モンゴル人民党

【共催】 日本ウイグル協会、チベット問題を考える会、民主中国陣線、南モンゴル人権情報センター、チベット百人委員会、モンゴル自由連盟党、日本チベット友好協会、南モンゴル応援クリルタイ

【協賛】 宗派を超えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会、Students for a Free Tibet Japan、日本イスラーム友愛協会、チベット交流会

チラシ
http://uyghur-j.org/image/20110305.pdf
http://uyghur-j.org/image/20110305b.pdf

                                                                                                                                            • -

モンゴル人の人権を求めたハダ氏、海外のメディアのインタビューを受けただけのハイレット氏、チベット人の実態を映画にしたドゥンドゥプ氏、中国で民主主義を実現しようと08憲章を提唱した劉氏、彼らは最長で懲役15年の刑を受け服役しています。彼らのように言論や思想により、不当に投獄されている人々を「良心の囚人」といいます。

中国の目覚しい経済発展の影には、数多くの知られざる人権侵害の実態があります。
南モンゴルでは1950年代から民族同化政策が実施され、漢人による圧倒的な人口圧力を受けているモンゴル人の言葉や伝統的な文化は、まさに消滅の危機にあります。東トルキスタンチベットにおいても現在進行形で人口侵略と同化政策が推進されています。また、自分達の文化や言語を守り、真の自由を求める人々の言論は制限され、多くの市民が取り締まられています。

中国本土においても、民主活動家や法輪功の信者に対する拷問や処罰が続いており、農村部の貧困問題や生活環境の汚染も放置され、今も多くの人民が、苦しんでいます。
政府に批判的な人民を、その人々に委託されたはずの権力を用いて弾圧するような現代中国の政治体制は、中国共産党の誇る「近代」が実体のないものであることを自ら証明しています。

このように、東アジアの諸民族が、自由で民主的な社会の中で繁栄し、民族文化を興隆させることを阻んでいるのは、中国共産党政権に他なりません。逆に中国共産党に反対して囚われている人々こそ、人類の良心であり、我々の社会を明るい未来に導いてくれる大切な存在です。

良心の囚人たちの存在に目をつむるのではなく、国や民族を超えて民主主義と平和を愛する者同士が連帯し、勇気を持って立ち向かい、良心の囚人の解放を求めていきましょう。

内モンゴル人民党

                                                                                                                                            • -

当日予定プログラム
開場18:20 開会18:40 閉会21:20
【講演1】
司会 リ・ガ・スチント(内モンゴル人民党日本支部副代表)
「ハダ氏について」 ケレイト・フビスガルト(内モンゴル人民党幹事長)
南モンゴル人権情報センターからのメッセージ発表) ジリガラ
「ハイレット・ニヤズ氏について」 イリハム・マハムティ(日本ウイグル協会会長)
「ドゥンドゥプ・ワンチェン氏について」 (在日チベット人
劉暁波氏について」 王戴(民主中国陣線)
【講演2・パネルデスカッション】
コーディネーター 小林秀英(チベット問題を考える会代表)
パネリスト   ケレイト・フビスガルト(内モンゴル人民党幹事長)
          イリハム・マハムティ(日本ウイグル協会会長)
          (在日チベット人
          王載(民主中国陣線)
          オルホノド・ダイチン(モンゴル自由連盟党幹事長)
          北井大輔(人権活動家)
          田中健之(日本チベット友好協会代表)