労働改造所と盲流

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2007030100406
2007/03/01-12:18 「労働矯正」廃止を審議へ=全人代が今秋計画−中国

 【北京1日時事】中国で裁判手続きを必要としない行政処罰「労働矯正」制度について、全国人民代表大会全人代)常務委員会がこれを廃止する法案を今年10月に初審議することが分かった。中国紙チャイナ・デーリーが1日報じた。
 労働矯正は軽微な犯罪や売春婦などに適用されるが、公安当局によって民主活動家らの収容に利用され、海外から人権侵害と批判されている。

 
中国は「労働教養」制度の廃止に向けて動き出したようです。(日本のマスコミは「労働矯正」という単語を良く使います。) さすがに国際的な圧力に抗しきれなくなったようです。
きちんとした裁判を経ずに拘留できる、この「労働教養」という保安処分があることが問題となっていました。
これは1957年に制定されたもので、スリや売春などの軽犯罪に対して、警察が主となる組織の判断によって、最高3〜4年まで施設への収容を可能とするものです。
現況では、裁判所による司法審査が行われるにしても、保安処分された後のことになっています。これが悪用されて、法輪功信者や民主活動家などが収容所で拷問を加えられ、強制労働を課せられていました。
 
労働改造所や監獄では、収容者はほとんど無賃で、収容所内の農場や工場などで働かされています。普通の国の刑務所などと異なり、労働改造所は儲かるビジネスとなっています。一般企業のような名前の企業名をつけているので、我々も気付かぬままに強制労働者によってつくられた商品を購入しているかもしれません。
 
2003年のアムネスティのレポートによると、2001年初頭で約31万人が労働改造所に行政拘禁されているとのことで、現在では「厳打」キャンペーンによってさらに増加していると見られています。
 
ちなみに草案の段階でもめているようで、公安側では、今までと同様に行政処分の後に司法審査を行うべきだとしています。これに対して最高人民法院は、司法手続きなしの拘禁は認められないとしています。
また、施設のバーとゲートを取り外して、本物の「教育施設」のようにし、拘留期間も最長で18ヶ月とするそうです。
手続きが変わっていくんで、保安処分という恣意的な拘禁は減っていき、矯正施設もその名の通りの施設になりそうです。でも、刑務所での強制労働ビジネスについてはどうするのでしょうかね。
 
労働改造所は「労改」ラオガイともいわれる強制労働収容所で、ここに19年入れられたハリー・ウー(呉弘達)氏が設立した「労改基金会」というのがあります。
ヒトラー強制収容所ソ連のグラーグと並び、中国にはラオガイがあるということを世界中に知らせようと活動されています。詳しくはこちらで。
 
LAOGAI Research Foundation (労改基金会)
http://www.laogai.org/news/index.php
 
 
それともうひとつ、Amnesty Internationalが報告書を出しました。

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2007030100294
2007/03/01-10:46 中国、発展の陰に人権侵害=出稼ぎ労働者の待遇を批判−アムネスティ

 【ロンドン1日時事】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)は1日、経済成長が著しい中国で「発展の原動力となっている出稼ぎ労働者らが厳しい労働環境の中で搾取され、差別的扱いを受けている」と批判する報告書を公表した。
 「中国 経済の『奇跡』が生んだ人間の苦痛」と題された報告書によると、仕事を求めて中国の農村から都市に流入した人は推定1億5000万〜2億人。これらの人々は、都市部と農村部の住民を別扱いする戸籍制度により、都市住民であれば享受できる住宅手当や公教育、医療保険を受けられない。仕事場でも、低賃金と劣悪な条件の下、長時間労働を強いられているという。

 
中国の経済発展は、多くの労働者の犠牲の上に成り立っています。
今回のAmnesty Internationalが出した報告書は、農村からの出稼ぎ労働者(盲流)に関してのものです。
China's growing underclass
http://web.amnesty.org/pages/chn-010307-feature-eng
 
そもそも中国では、戸籍制度(The Household Registration (HUKOU))に基づいて農村部と都市部とで2重戸籍管理が行われています。農民戸籍の人は一生農民であって、都市戸籍に移すことはできないようになっています。
しかし改革解放以後の経済発展から、農民戸籍のままで都市部に出稼ぎに出る、「盲流」「民工潮」と呼ばれる出稼ぎ労働者の問題が起きています。
その数は1.5億〜2億くらいと言われており、まともな賃金の支払いもないままに過酷な労働を課せられ、最低限の生活の保障も受けることができません。
 
このような「盲流」と「労働改造所」に代表されるように、廉価なMade in Chinaは、多大な犠牲者の上に成り立つものであり、そしてその商品は世界中の市場を荒らしまくっているのです。
 
日本でも、中国産毒野菜という、食の安全の面からの中国製品ボイコット運動が広がりつつありますが、これに人権という要素も加わっていけば良いと思っています。
 
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