ウイグル人のパスポート没収

 
今年の6月から、ウイグル人のパスポートが没収されているそうです。
パスポートが没収されていることは現地の人にも教えてもらったのですが、その人は「少数民族」が海外に行くのを邪魔されている、と言っていました。
また、在日のウイグル人からも教えていただいたのですが、彼が言うには、とにかくウイグル人を国外に出したくないのではないかとのことです。チベットなど他の少数民族は、パスポートを没収されていないそうです。 現地の方々は情報が中途半端に伝わっていると思われるので、在日のウイグル人の方の情報が正しいのではないでしょうか。
 
ウイグル旅行中には、出産のために一時帰国した方の新しく生まれた子供がパスポートを発行してもらえず、結局そのまま残ることになってしまったという話も聞きました。
そして、新しく生まれた子供にさえパスポートを発行しない中国政府の方針を知った在外ウイグル人の方々で多くの方が、中国から二度と出ることが出来ないのではないかと恐れ、帰国せずにその外国の地で子供を産むと決めているそうです。ウイグル人も里帰り出産が当たり前なのか、実家の親を説得するのに苦労されているようでした。
 
パスポート没収に関しては、Radio Free Asiaが記事を出しています。
http://www.rfa.org/english/uyghur/2007/06/27/uyghur_passports/
日本語訳はKokさんの真Silkroad?にあります。
http://kok2.no-blog.jp/tengri/2007/06/post_36c7.html
  
RFAの電話取材に対して答えた、ウルムチの職員の話では、パスポートを没収しているのではなく、居民委員会への登録のために集めているだけで、他国へ行く際には返却するのだそうです。カシュガルの職員の話では、ムスリムの六信五行の一つ、ハッジ(メッカ巡礼)を阻止するためではないかとのことです。パスポート没収を始めるに先立ち、新疆ウイグル自治区党書記:王楽泉訓話があり、不法な巡礼の主催者を罰すること、地下の巡礼団体の活動を停止させ、さらに巡礼政策を見直すべきである、と言ったそうです。この訓話に引き続いて、大多数のウイグル人をはじめとしたムスリムのパスポート没収が始まりました。
 
http://www.iht.com/articles/ap/2007/07/20/asia/AS-GEN-China-Uighur-Passports.php
また、世界ウイグル会議のスポークスマンであるディルシャット・ラシットさんが電話インタビューで話したことによると、パスポートを公安に渡さなかった場合には無効になるだろう、ウイグル人が国外に出るためには、相手国からの招待状が必要で、パスポートを取り戻すためには、場合によって5万元(約80万円)のデポジットが必要であるとのことです。
 
 
ハッジはイスラム教の五行の一つで、健康な人で可能であれば一生の間に一度は聖地メッカに巡礼にいくよう求められています。今年は12月18日から始まります。伝統的に、ハッジは家族や友達、地域のモスク主催でといったようにお金の節約のために集団で旅行し、またこのために長年お金をためている人もいるようです。
ハッジしたムスリムは、宗教的な指導力が増すということのようですので、中国政府がこれを禁止したい気持ちがすごく良く分かります。だから「不法な」「地下の」巡礼団体は取り締まりたいんでしょう。また、東トルキスタン共和国はじめ、イスラム知識人が先導して行われた民族運動も結構な数に上ります。民衆を動かすためには、宗教的な意義付けがすごく重要な要素となっているんですね。
ところで、相手国からの招待状・ビザの取得、それから中国のパスポート発行or返却というやり方は面白いですね。通常の国と逆です。行く国がないのにパスポートを持っている必要なんか無いだろうということなのでしょう。
 
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