毛沢東の肖像画放火される

毛沢東肖像画に放火した人が拘束されました。出身が新疆ウイグル自治区ウルムチだったので、ウイグル人による、少数民族問題に対しての抗議行動であると2ちゃんねる上で騒がれていましたが、どうやらウイグル人ではないようです。
日本のマスコミ報道は本当に情報が不足していまして、この文章だけ読むと、精神病患者の異常行動であるかのようにみえてしまいます。
 

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070512i314.htm

天安門毛沢東肖像画に発火物、ウルムチ出身の男拘束
 【北京=佐伯聡士】中国国営新華社通信によると、北京市警察当局は12日、市中心部の天安門に掲げられている毛沢東の大型肖像画に同日夕、発火物を投げつけて燃やそうとした男を拘束した。肖像画は左下の一部が焦げた。

 新華社電(英文)によれば、拘束されたのは新疆ウイグル自治区ウルムチ出身の無職男性(35)。当局は「男は昨年、ウルムチ精神科病院で治療を受けた」としており、犯行の動機などを調べている。

 ロイター通信などによると、この日は週末とあって、現場付近と天安門広場は全国各地からの観光客でにぎわっていたが、警察当局は事件後、現場一帯を一時封鎖した。その間、クレーンを使って肖像画の汚れを取り除く作業が行われた。

 毛沢東肖像画をめぐっては、1989年6月の天安門事件が起きる直前、ペンキをかけた男が逮捕されたほか、93年にも同様にペンキをかけた事件が起きている。

(2007年5月13日0時50分 読売新聞)

  
BBCによると、

Xinhua news agency said police detained Gu Haiou, a 35-year-old unemployed man from Urumqi, in the far north-western region of Xinjiang, though the report did not specify the grounds for his detention.

An official at the Tiananmen Administration Committee confirmed there had been an incident but said he had no details.

男の名前はGu Haiou、ウイグル人の名ではありません。多分漢族でしょう。
今でも詳細についてはしゃべっていないようなので、どのような背景で起きたことなのかはわかりません。
少数民族問題に関連したことではないと思いますが、それでも現体制への不満から起こしたことでしょう。
 
Los Angeles Timesによると、

China, with its booming capitalist-style economy and rising level of personal freedom, has turned much of the austere communism of the Mao era on its head. But the image of Mao remains sacrosanct, and its defamation is a serious crime.

資本主義経済に移行し、個人の自由のレベルがあがっても、未だに毛沢東は神聖であり、その肖像画に対しての侮辱は重大な犯罪行為だそうです。こういうところで、中国はやはり専制的な共産国家であると再確認できますね。
 

Saturday's incident came 18 years to the month after three men threw eggshells filled with paint on Mao's portrait at the height of the 1989 Tiananmen pro-democracy demonstrations. They received sentences ranging from 16 years to life in prison.

Lu Decheng, who was released after 10 years, fled to Canada. He said he had suffered beatings in prison and was forced to make Christmas lights as part of his labor and reform.

Yu Dongyue served 17 years. When he was released last year he reportedly was so mentally debilitated that he could not speak to his mother.

毛沢東肖像画に関しては、1989年にも赤いペイントの入った卵の殻を投げつけたことがあったそうですが、このときの実行者は懲役16年から終身刑の判決を受けたようです。
Lu Dechengは10年後に開放されカナダに逃れたそうですが、彼は拷問を受け、さらに労働改造所でクリスマス・ライトの製作を行ったようです。ラオガイということで何度かエントリしたことがありますが、彼もそうだったのですね。
Yu Dongyueは17年収監され去年釈放されましたが、精神的に衰弱し、彼の母親と話すこともできないそうです。
今回のGu Haiouはどのような罪状で処罰されるのでしょうか。以1989年のときは「反革命破壊行為」「反革命の扇動」とされて処罰されたようですが、現在では「反革命」の罪状による起訴はないそうです。
 
Guさんは昨年、精神科病院で治療を受けていたようですが、精神病という理由によって収容、拘禁されることもあり得ますね。Guさんがどのような人物で、どのような動機でこのような行為を行ったのかわかりませんが、もしかしたら昨年の精神科病院の治療ですら、彼を収容するための口実として「精神病」が悪用されたのかもしれません。
以下、安東幹さんが「誰も書かなかった中国の人権抑圧」という本で書いた、中国が行っている「精神病治療」です。安東さん自身も、日本共産党によって、むりやり代々木病院で「治療」させられたそうです。
 

中国では精神医学を悪用した人権弾圧が行われている。精神的にまったく健康な人たちが、政府を批判するという理由で精神病院に収容される。日本のように、精神科医がきちんと診断するのではない。警察が独断で判断して精神病院にむりやり連れていくのである。精神病院では、薬物による拷問も行われる。精神科医が、まったく健康で薬物が不必要な人に、激しい苦痛を伴う薬物を投与し、拷問を行ない、政府への批判の撤回を迫るのである。投獄と違って、精神病院い収容された反体制派は、いつ、自由の身になれるかわからない。なぜならば、刑期というものが存在せず、警察が「この人は病気は治っていない」と言い続ければ、「退院」できないからである。

安東さんのサイト:中国人権インターネットセンター
 
さて、北京市天安門広場と周辺地域の環境整備に取り掛かると、新華社が発表した直後だった訳ですが、なんともタイミングよく行動を起こしてくれたものです。

http://www.xinhua.jp/newsdetails.aspx?newsid=P100009300&cate_id=410
北京:五輪前に天安門広場をリニューアル (2007/05/11)
 
【北京11日新華網】 北京市はまもなく、天安門広場および周辺地区の環境整備に取り掛かる。広場周辺の交通整備や、広場のイメージ・機能性の向上、環境の品質改善、施設リニューアルなどを行う。五輪前の完成を目指す。
 
(中略)
  
 今回のリニューアルは、2008年の北京五輪、ならびにその翌年の2009年に控えた中華人民共和国60周年を迎えるに当たり、中国の政治・文化の中心でもある天安門広場の新しい姿を、広く世界にアピールするきっかけとなるだろう。

 
文字通り「顔に泥を塗られた」中国は、Guさんが何らかの体制批判から起こした行動であるとは言えないでしょうね。精神病患者の異常行動、として処理されていくのでしょう。
 
 
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