Human Rights Watchの2008年版の人権報告書

Human Rights Watchが2008年版の人権報告書を出しました。
http://hrw.org/wr2k8/
 
2007年に起きた世界各国の人権状況の報告ですが、新疆ウイグル自治区における人権侵害についても書いています。
以下超訳

新疆

2007年もイスラム教徒の宗教、文化、政治的な表現に対しての強烈な統制が新疆ウイグル自治区で行われている。ここはチベットと同様、中国人がマジョリティになっていない自治区・省であるが、過去10年間で他地域からの中国人の移民が100万人以上にのぼっている。
政府は政府が指名した聖職者による、政府が管理した会場で行われる宗教行事しか許可していない。未成年者は宗教活動に参加することが禁止されており、ある所ではモスクに入ることさえ禁じられている。

当局は6月から、政府が許可していないメッカ巡礼を防ぐため、ムスリムのパスポートを没収し始めた。
公務員や教師、聖職者は「3つの凶悪な勢力:分離主義、宗教的過激主義、テロリズム」に侵されないように、強烈な愛国教育を受けている。
1月に「東トルキスタンイスラム運動」の「テロリスト訓練キャンプ」を襲撃したと政府が発表したが(コスラップ事件)、このときに18人が死亡し17人が逮捕された。11月には彼らのうちの5人に死刑が、1人に終身刑が宣告された。

政府はある特定の事件を利用し、一般的な国民の不満の表出でさえも、テロリズムや分離主義と同一のものとしてきた。
アメリカに亡命した活動家で、ノーベル平和賞候補になったラビア・カディールを中国当局はテロリストであるとレッテルを貼り、2007年4月には彼女の息子アブリキム・アブデゥリキムを「分離主義者の記事をインターネットで広めた」罪により9年の懲役刑を、もう一人の息子アリム・アブドゥリキムに対しては2006年11月に脱税の罪で7年の懲役刑を宣告している。
2000年に中国から亡命した元政治犯であるフセイン・ジェリルは、2006年にウズベク当局により中国へ強制送還され、2007年4月に終身刑を宣告された。中国は彼にカナダの市民権があることを認めず、カナダの外交官が彼の裁判に参加することを認めなかった。

新疆ウイグル自治区という項目で書かれた内容は以上ですが、他にも中国全般の人権問題についてたくさん書かれています。まだ読んでいないんですが、これもいずれまとめたいと思います。2008年のオリンピックや、表現の自由、労働者や女子、子供の人権、HIV/AIDS、信教の自由などについて書かれています。

もう一つ、世界ウイグル会議が報告書が出されたことをニュースにしていますが、この中でHuman Rights Watchのアジア担当部の担当者が、RFAの取材に答えた内容も書かれています。
http://www.uyghurcongress.org/jp/news.asp?ItemID=1201963975

ヒューマン・ライツ・ウオッチのアジア担当部の担当者ソフィヤ女史がRFAの取材に答えて、ウイグル人社会での抑圧がチベットより激しく行われていることを強調した。ソフィヤ女史が「新疆の状況はチベットとちょっと違う。中国当局がこの地域で更に激しい抑圧を行っている。我々は、宗教・文化・政治面での表現の自由が以前よりも激しい抑圧を受けているのを見ているのです・・・」と語った。

報告書では、中国当局が2007年6月にウイグル人のパスポートを強制的に回収したこと、2007年1月に起きたコスラップ事件(ウイグル人18人が殺害、17人が逮捕)の真相に対する疑惑なども取り上げられている。ソフィヤ女史がコスラップ事件の真相に疑問が残ることを強調した。そして、2007年11月にこの事件の逮捕者5人が処刑にされ、一人が終身刑にされたことについて中国を非難した。

 
チベットへの抑圧も厳しいままなんですが、新疆の場合は締め付けが次第に強まっているということです。今年はウイグル人の宗教活動への締め付けとしてパスポート没収が始まりましたし、また大学ではラマダン(断食月)のときだけ昼食を支給したとか、学生寮では断食をしていないかを先生達が見回りしたと言われています。

 
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