飛行機爆破テロ未遂?

2月4日に起きたウルムチ市街地での「テロ組織」のアジト襲撃に引き続き、飛行機爆破未遂があったそうです。
犯人は18,9歳の女性とのこと。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080310-OYT1T00078.htm
中国・自治区で航空機テロ未遂、五輪破壊狙う組織も摘発
 
 【北京=杉山祐之】中国新疆ウイグル自治区王楽泉共産党委員会書記らは9日、北京で記者団に、3月7日に自治区を離陸した国内線旅客機でテロ未遂事件が発生したと明らかにした。
 王書記らはさらに、自治区治安当局が今年1月27日、「北京五輪の破壊を図っていた」とみられるテロ組織拠点を摘発し、2人を射殺したと述べた。
 新華社電などによると、旅客機は、自治区の区都ウルムチを7日午前10時35分(日本時間同11時35分)に出発した北京行きの中国南方航空機。「何者かが飛行機を破壊しようとした」ことから、同機は午後0時40分に甘粛省蘭州に緊急着陸。犯人は乗員らに取り押さえられたとみられ、現在、蘭州で拘束中という。乗客乗員にけがはなかった。自治区当局者は「調査中」だとして事件の詳細を明らかにしていない。
 1月のテロ組織摘発では、治安当局がウルムチの拠点を制圧し、射殺した2人のほか、15人を拘束したという。王書記は、「テロリスト」らがパキスタンアフガニスタンを拠点に、自治区の分離独立を目指すテロ組織によって訓練されていたと語った。
(2008年3月10日01時06分 読売新聞)

 

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0310&f=national_0310_004.shtml
航空機テロ未遂、容疑者は少女 ガソリンで爆破図る?
2008/03/10(月) 15:12:51更新
 
  中国広東省の現地紙・南方都市報によると、7日午前、中国新疆ウイグル自治区ウルムチ発北京行きの中国南方航空機内で起きたとされるテロ未遂事件で、同紙は10日、関係者の話として、容疑者は少数民族ウイグル族の少女らだったと報じた。
  同紙によると、同機が7日午前10時35分ごろ、ウルムチ空港を離陸後、女性客室乗務員が、乗客のウイグル族の少女からガソリンの臭いがすることに気付き、他の乗務員と協力して取り押さえた。同機は12時40分ごろ、甘粛省蘭州空港に緊急着陸した。少女は18、9歳で、容疑者は少なくともさらに1人いるみられる。
  航空行政を担当する国家民航総局も事実を認め、内部の緊急通達で、少女らはトイレでガソリンに火を付け、同機を爆破しようとする直前、乗務員に見付かったと伝えた。また、通達は、ウルムチ空港の安全検査体制に重大な欠陥があったと厳しく指摘した。
  新疆ウイグル自治区トップの王楽泉・同区共産党委員会書記は、北京で開催中の全国人民代表大会の新疆自治区代表団会議で、容疑者はウイグル族であると明言。「新疆の独立派など少数の者が、あらゆる手段で北京五輪の破壊を目論んでいる。しかし、彼らの力は限られている」と述べた。

 
中国でも機内への液体の持込は制限されていますので、今回の事件は「ウルムチ空港の安全検査体制に重大な欠陥があった」ということになります。
しかし今回の「飛行機爆破未遂事件」は、2月4日(中国当局発表では1月27日)に起きたウルムチ市街地での独立派組織アジト襲撃事件の直後で、しかも全人代の会期中というタイミングで起きたということから疑問の声があがっているようです。
 

http://www.time.com/time/world/article/0,8599,1720909,00.html
(一部抜粋)

3月7日の中国南方航空CZ6901便(ウルムチ〜北京便)で、分離主義者による航空機爆破未遂があり、午後12時40分ごろに蘭州市緊急着陸したとのこと。
事件の詳細が不明であることから、中国外で多くの疑問の声があがっている。
新疆ウイグル自治区主席のヌル・ベクリ氏は詳細を語らず、また当局も「テロリストが誰で、どこの出身者であるか、どのような背景があるのかを調査しているところであるが、しかしこれは飛行機墜落事故を狙ったものであると確信する。」と言っている。
 
事件の詳細が不明であり、なおかつ保安担当者がこれをハイジャック事件として取り扱ったということについて、オックスフォード大学のスティーブン・ツァング氏が以下のような疑問を呈している。
・飛行機が蘭州でとまった後に、予定通りに北京へのフライトを行ったこと。これでは厄介な乗客を追い払う、機内暴力への対処のようなものだ。
・テロ対策の警察が犯罪調査の際に行うべき乗客への広範な尋問や機体の科学的調査をせずに、飛行機と乗客とを解放したこと。
イスラム分離主義者が北京オリンピック阻止を図っていると宣伝するのが容易い点。
 
ほかの論者からも、発表のタイミングについて驚きの声が出ている。
全人代全国人民代表大会)というメディアが首都に注目するまさにその時に事件が起きたということ。
・通常であれば大して注目されないような幹部は、中央政府の命令を忠実に実行したと認めてもらいたがっている。
ということを指摘している。

 
日本の新聞では見つかりませんでしたが、蘭州空港へ緊急着陸後、大した取調べもないまま北京へ飛び立ったようです。テロリストへの対処としてはあんまりにも杜撰であるといえます。
またこの事件が全人代の会期中に起きたということから、普段は注目されない地方の幹部による点数稼ぎという見方まで出ています。
中国政府は、北京オリンピックがテロの標的になっていると盛んに宣伝しています。これに合わせたかのような事件が、しかも未遂で終わるというのがいかにも怪しい。検査官の目をごまかして機内へガソリンを持込んだ優秀なテロリストが、臭いで気づかれるという失態を犯すとも思えません。
 
世界ウイグル会議も今回の事件について声明を発表しています。

http://www.uyghurcongress.org/jp/news.asp?ItemID=1205188959
世界ウイグル会議、中国の誹謗に反応

世界ウイグル会議が声明を発表し、3月7日に起きた航空機事故を口実に中国当局が唱える誹謗に反応をした。

世界ウイグル会議スポークスマンのデリシャット・レシット氏は中央通信社の記者の取材に対して次のように語った:ウイグル人北京オリンピックに反対するのは、中国がオリンピックの開催を招致する際に約束していた人権改善についての承諾が履行されていないからだ。言っておかなければならないのは、ウイグル人はオリンピックの精神を尊重しており、オリンピックに対して破壊活動を行うようなことはしない。

彼はまた次のように語った:『航空機事故を発生させて北京オリンピックの破壊を目論んでいる』とウイグル人を誹謗する中国当局には人に告げられない政治目的がある。中国当局はオリンピックが近づいたこのような敏感な時に敏感な話題をでっちあげて、国際社会でウイグル人を孤立させ、ウイグルの政治運動に打撃を与えようとしている。

 
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