トルキスタン・イスラム党のジハード宣言

メルマガ「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」6月4日発行の記事に、東トルキスタンイスラム党が中国に対してジハードを宣言したと書かれていました。
 

http://www.melma.com/backnumber_45206_4118659/
 東トルキスタンイスラム党、ついに中国に“ジハード”を宣言
  北京五輪直前、中国でさらに凶悪事件の前兆

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  5月21日に東トルキスタンイスラム党(イスラム原理主義過激派)が、北京へのジハードを宣言していたことがわかった。

 従来、イスラム過激派は「シオニスト」と「帝国主義」を敵と公言してテロ活動を展開してきたが、名指しで中国をあげたのは初めてである。
 以下に宣言がなされている。
 
「異端の中国人占領者は軍人、役人、政治家、経済人の如何を問わず、非合法の存在であり、ジハードの攻撃対象であると信じる…この声明は、彼等に対する宣戦布告である。従って彼等は東トルキスタンから直ちに撤退しなければならない」
ここでは「中国人占領者」と定義付けがおこなわれ、東トルキスタン(すなわち中国がいう「新彊ウィグル自治区のこと」から出て行けと要求している。
「軍人、政治家、役人、ビジネスマンをとわず、非合法」と決めつけている。

また宣言はこうも言う。

東トルキスタンに居住する中国人移住者を非合法の存在とみなす。彼等こそ、中国による占領を最も端的に具象化した存在である。彼等はトルキスタンから引揚げ、元の所へ戻らなければならない。この声明は、最初にして最後の警告である」
「最後の警告」というのは、つぎは北京五輪直前になにかをやらかすという宣言かも知れない。

そして「非イスラム民族主義シンボルをすべて拒否する」としている。中華民族主義はかれらの明らかな敵ということである。

 
このことはMEMRI(The Middle East Media Research Institute)にも書かれております。
http://www.memri.org/bin/latestnews.cgi?ID=SD194708
5月21日に、トルキスタン・イスラム党がIslamist forum Al-Ikhlasに党の政治要綱を出したのだそうです。
で、この中に党の目的と信条が書かれておりますが、そのうちの「目的」の部分を抜き出すと、

・我々はアラーのために聖戦を行うグループであり、東トルキスタンを背教者である共産中国の支配から解放し、イスラム法を施行する。
トルキスタンムスリム青年達を聖戦のために準備させ、適正な教義に戻すよう教育する。
・背教者からの攻撃を撃退するために、世界中でアラーのために聖戦を行っているグループと協力し、十字軍、シオニスト、背教者を追い払う。
 
となっています。あとは背景説明だとか、ジハードを敢行する際の対象だとかいうのは宮崎さんのメルマガで分かります。
最後のロゴマークは英語ではThe Islamic Party of Turkistanと書かれており、ウイグル語ではTurkistan Islam Partiyisiとなっています。そのまま訳すと「トルキスタン・イスラム党」です。
この党、前の名前は「東トルキスタンイスラム党」だったのですが、中国がテロ組織としてアメリカや国連に認定させるために「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」と勝手に名付けたようです。ウズベキスタンイスラム運動という有名なイスラム原理主義組織があるんで、それにちなんだものと考えられています。で、うまい具合にテロ組織認定されたので、何か事件があるとすぐにETIMの犯行と決め付けられるようになっていました。本人達が使っていないETIMの名称を使って、殊更に巨大で凶悪な組織であるかのように見せかけていたわけです。
後に当の東トルキスタンイスラム党は名称を変え、トルキスタン・イスラム党としたようです。東トルキスタンと限定せずに、トルキスタンを解放し、イスラム国家を打ち立てようということでしょうか。
トルキスタン・イスラム党のHPは
http://www.tipislamyultuzi.com/
です。
 
今回のジハード宣言は本当にトルキスタン・イスラム党によるものなのかどうか、これも今後の情報を待つしかないですね。2006年11月にも宣戦布告した映像が流されたものの、このときにはトルキスタン・イスラム党のものではないとウイグル太郎氏は否定していました。
http://www.turkistanim.org/japan/news/20061113.htm

東トルキスタン問題の解決のため、平和的な手段で国際社会に訴えかけ、中国への圧力をかけてもらおうということで世界ウイグル会議はやっております。今回のジハード宣言そのものが本当かどうかは別として、武力に訴える組織があることは事実です。
まさに今、民族が抹殺されようとしている現状を見るならば、武力に訴えてでも「解放」を勝ち取ろうと思う彼らの追い詰められた気持ちは理解できます。
しかし僕は、現段階での武力闘争には、そして無差別テロという手段に訴えるような闘争には賛同しかねます。これを口実として中国による弾圧が強まるかと思うと尚更です。
 
 
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